消費税について
ふっと思い出したので書いてみる。
消費税が導入されたのは1989年、竹下内閣の時だ。
あの頃まだ小学生だった自分には、税のことなんてあまりピンとこなかった。
ただ、3%が取られるんだな、ということは公文式に通っていた自分にも分かった。
ある日のこと。
スーパーに500円のおもちゃがあって、それを自分はどうしても欲しくて、ちまちましたお駄賃を貯めて買おうと思っていた。
ようやく五百円が貯まったので、自分は喜び勇んでそれを買いに行った。
『あぁ、やっと買えるんだ…』
足が、弾む。
店内でちょっとばかり駆け足になって、僕は欲しかったおもちゃを手にとって、レジに持っていく。
『もう少しでこのおもちゃが買えるんだ…。』きらきらした目で商品のバーコードを読むお姉さんを眺めていた。
「515円頂戴いたします。」
え!?
500円じゃないの?
その時僕はふっと消費税の存在を思い出した。
…あぁそうだ、百の位の数字を3掛けた分だけお金が取られるんだ(←こう憶えていた)これじゃあ買えない…。
しょげる僕。
シュンとした僕をみかねたのか、小銭受けからさっと500円を取ったお姉さんは、
「515円丁度お預かりしまーす!」
と言った。
え?
驚く僕の目を見ながら、すごく微笑んで商品を包んでくれるレジのお姉さん。
「ありがとうございます。」
お姉さんは笑って袋を渡してくれる。
…おまけしてくれたんだ…。
子供心にもそれは分かった。レシートには"515円"と入力されてた。
それから10数年後。
あのときのおもちゃはもう無いけれど、
あのときの優しさは僕の心にずっと残っている。