代々木で。

帰り際に予備校の前を通ると、センターリサーチを依頼する受験生の姿が目に付く。
自分が苦労したせいか、どうしてもこの時期は受験に関心を持つ。
大学受験は小さな一歩に過ぎないと俺の恩師がよく言っていた。
だが、それで将来がある程度決まるのも事実。
自分は手に入れると急速に熱が冷める部分があるので、大学に入ったときも結構冷めた。
もともと冷めている部分もあるので、余計に。
規模の大きさに躊躇する部分もあったかな。
通ってみると高校みたいだった。
お酒を飲む事も、ギャンブルも好きではないから、
"東京エイティーズ"に描かれるような、飲み会と麻雀を毎日繰り返して過ごす日々、なんていうものはなかった。
ただ日々の授業を受けて過ごす。知り合いと食事をする。普通の日常。
でも振り返ってみると、それが幸せなのかもしれない。
波乱万丈に満ちた人生ももちろん楽しい。
ただそれとは対極にある、"何もない穏やかな日常"というもののほうが、
自分のメンタルの部分を安定させる上では必要なのかもしれない、とも思う。
今はすごく穏やか。
友達と話をして、アルバイトをして結果を出して、その繰り返し。
それでもまったく同じ日々は無い、とよく俺の恩師が言っていた。
"見るもの聞くもの全てが新しい。それをしっかりと感じ取れるかどうか。都会の雑踏にかき消される何かを、目を凝らして、耳を澄ませて捉えるんだ。"

"大切なものは目に見えないんだ。" - サン・テグジュペリ星の王子さま