鳴らない、電話

"電話というものは電話は相手の都合を問わず架かってくる、ひどく暴力的なコミュニケーションツールである"
と、コピーライター*1糸井重里さんが発言しているのは、そう古い話ではないと思う。
自分はこの話をかなり前に憶えていて、「いや、それは言い過ぎじゃないか?」と考えていたのだが。


つい昨日。


朝の8時半にアルバイトの登録先から着信が。
自分は前日あれこれ有って休んでいたし、出たくなかったのでそのまま留守電センターへ転送をした。留守電を聴いてみたら大した用事でもなかったので夕方に連絡することにした。(明らかにそういう案件でもあったので)

午後。


お昼ごはんを食べていると。


ブー、ブー、ブー。携帯が振動をする。
昔風に言うと「ブルった!」


それからというもの、数時間おきに電話が架かってきて、俺も電話を放置していたり、電車の中で出られなかったりしたので、ようやく電話を架け直した。
でもそうして半日着信に追われた時に、上のセリフが思い浮かんだ。


糸井さんの言う通り、電話って相手の都合おかまいなしだよなー。
自宅の電話から携帯電話へシフトしてから、余計にその傾向が強くなった気がする。
夜中の2時や3時に「起きてるー?」から始まる着信とか、自宅の電話にかかってくるとしたら非常識だよね。
自宅の電話では非常識と捉えられる事が、個人間の電話では何故そう捉えられないのか疑問ではある。
「いや、だからこそ携帯電話だろう」なんて反論があるかもしれないが、所詮電話の向こうにいるのはれっきとした人間なのだ。深夜に限らず、相手の時間を侵害する権利など無いだろう。
俺は電話が嫌いではないからそれほど深夜の着信にも嫌悪感を抱かないけれど、イヤな人はやっぱりイヤだろうな、と思う。


で、その後糸井さんは"メールなら相手が好きな時に読む事が出来るし、好きな時に返信が出来るので、その点で秀逸だ"として、メールの便利さを訴えている。
例えば深夜に電話をする際でも、一言「起きてる?」というメールがクッションとして一通送られていれば、送られたほうは起きてなくても翌朝に返信できるし、話の流れ次第で電話に移行することもできるわけだ。
俺は基本的に着信には発信で、メールにはメールで返すようにしている。急な用件の場合、電話はやはりしてしまうが。


電話をする方は《自分のペースを相手に無理矢理押し付けている》ということを理解しておくべきだ。


メールと同じで、留守電も軽視されがちだ。
電話をして相手が留守電に切り替わったと思いきや、すぐに電話を切る。
何もせずに切るのは電話代の無駄だ。せっかく繋がったのだから用件を言い残してから切ればいい。そうすれば折り返しの電話でもスムーズに話が進行する。
どうも話したがり屋は相手が出ないとすぐに切る傾向がある。そして後で折り返して聞いてみると大した用件でもない。そういう相手に限って、やはり何度も電話をしてくる。留守電やメールを送ればいい。相手の都合がつき次第連絡はあるのだから。


今回の俺の場合確かに夕方まで引き伸ばしたのは悪かったが。
電話について改めて考えさせられるものであった。

*1:今この言い方が適切かは分からないが