何故iPhoneは売れなくなったのか。

iPhone発売1カ月 ブームは息切れ? 料金変更で販売てこ入れ
量販店の売り場の様子を見ていると、以前よりもiPhoneに触れている人は減った。
物珍しさも薄れ、発売当時の「月額利用料金が高い」イメージが蔓延してしまった。
実際、バイト先の友人にも話してみると「iPhone?高いんでしょう?」と、完全に"高い"イメージが定着している模様。料金が高いと言われ続けているDoCoMoのようだ。
 
これについては完全にSoftBankの作戦が裏目に出たとしか思えない。
 
そもそも発売の前段階で、各メディアはiPhoneの実売価格が"3万円程度"と告知していた。
ところが、毎月の利用に際してはパケット定額のオプション契約が必須であることが判明し、購入を検討していたライトユーザーはここで退いた。
確かに、合計金額においてはパケット定額をフルに適用した場合の既存プランとの価格差はほとんどない。「今と同じぐらいの金額なんだから、消費者は購入するであろう」と、SoftBankは考えていたはずだ。

しかし、本来iPhoneに注目していたのは、ヘビーユーザーだけではなく、仕事でMaciPodを使用しているAppleのファンや、携帯に関心が薄い一般消費者だった。
携帯電話のキャリアとしてSoftBankは魅力に欠けると思っていた消費者も「SoftBankから出るなら仕方ない」と目を向けたわけで、SoftBankAppleのブランドイメージを借りて攻勢に出られる絶好の機会だった。
 
ところが蓋を開けてみると、そこには高額な月額利用料金が提示され、上記の消費者は一気に退いた。

加えて、日本の携帯電話で当然の機能であるプッシュ型メールの使い勝手の悪さや、機種変更をするとメールアドレスが変わってしまう点(機種変更を考えていたユーザーもここで退いた)、携帯向けサイトが閲覧できない点などがメディアやネット上で取り沙汰され、悪評が悪評を呼び、一気に消費者の購買意欲が冷めてしまった。
結果として、今回のニュースのようにブームが息切れと言われたのではないだろうか。
 
そもそもパケット定額は、使用者の意思に合わせて金額を調整できるメリットがある。
だから使う人は使うし、使わない人は使わない。トラフィックの状況を把握したいというSoftBankの考えも理解できるが、この記事が示している通り、段階制によるコスト意識を企業側が認識しているよりも消費者は理解し、活用している。
 
これからSoftBankが行わなければならないことは、

  • 月額仕様料金が下がったことをCMや各メディアで報道してもらう
  • i.softbank.jpの仕様改善(MMS利用可、端末側で保存できるようにする、他キャリアとの送受信を可能にする)
  • 携帯用コンテンツを閲覧できるようにする

 
日本の携帯電話ユーザーは、どんなに革新的な機能があったとしても、今まで使えていたものが使えなくなることに抵抗感を感じる。長く使用しているメールアドレスが使えなくなり、お気に入りの携帯サイトが見られなくなってしまうと知ったら、いくら高性能であったとしても、購入したいとは思わないだろう。
2台目需要を見込んでいたのかもしれないが、魅力的な端末であったからこそ、メインに使いたいというユーザーを最初に取り込むことが重要だったのではないか?と私は考える。