岡山を離れた。
長く居たために、スタッフの方、患者さん、患者さんの家族の方、町の方など、思いがけず人と関わり合いを持てたためか、情が生まれてしまってひっそりと泣いたりもした。
自分と同じ病気で数日前から入ってきた女の子と、昨夜長々話す機会があった。自信を失いかけていた彼女に、僕は病気にかかわる自分が持ってる知恵を伝えて、少しでも気楽に過ごしてもらえるように話し続けた。
今日発つ時、バスの停留所で空を写真に収めていると、その子がぱたぱたと見送りにきてくれた、一言お礼を、と。ぽつりぽつりと話したあと「希望をもってね。」と言うと、彼女は目に涙を浮かべながら、頑張ります、と笑って答えてくれた。
ここではずっと施しを受けてばかりだったけれど、最後の最後で、誰かの背中を押すことができてよかった。どんなに僕の気持ちは周りに伝えられずとも、他人の気持ちを慮り、それに沿った手当てができてよかった。
僕は僕で、この場所でこころを許せるであろうと感じた人に、ちょっとした試みを行ったけれど、やはり叶わないようだった。真っ直ぐさは、やはり人をはねつけるのだろうか。何か得体のしれない擦れ方をしていると、それに違和感を感じるのだろうか。単に自分とは違う属性だと受け付けられなくなるのだろうか。
何だか、もやもやする。