LOVE展 at 六本木

春先から開催されていた『LOVE展』が9月1日で開催終了となった。偶然にも見に行かないかと友人が誘ってくれたので、残暑が厳しいなか六本木まで足を運んできた。
六本木ヒルズ森美術館に到着して驚いたのは、同時開催されている『ハリーポッター展』に集まる客の数だ。入場は映画の上映のように時間区切りとなっているが、午後1時の段階ですでに夕方過ぎの回まで入場締切が告げられており、館内は入場を待ちわびる客が長蛇の列を作っており、その人気を窺わせた。
さて、目的のLOVE展へ。東京シティビューという展望台のチケットを購入することで同フロアで開催されている展示も見ることができるようになっている。
展示室は4つのパートで構成されている。恋愛の始まり、家族愛、愛情表現、あともうひとつは失念したが、それぞれのテーマに合った作品が展示されている。

展示のひとつひとつを眺めていて感じたことは、出会った者同士によって愛し方、愛され方はまったく変わる、というごくごく自然のものだった。私たちは長い間生きていく中で本、雑誌、ドラマ、映画などを通じて人と人とがどのように愛し合っていくのかを知っていく。しかし、それは世間一般に受け入れられるようにメディアが加工、抽出したテンプレートのようなところもあって、世界中の人々がそのテンプレート通りの恋愛を謳歌しているとは限らない。
むしろ、LOVE展で目を引いたのは、そうしたテンプレートから外れた恋愛のかたちだと感じた。暴力によって相手を愛していると表現する人もいれば、映像として撮影してあった子どもに対して呼びかけることで愛情を表明する場合もある。結局のところ、愛情というものがつかみどころのないものであるがゆえに、愛情を伝えようとする人は自分たちがベストだと感じる表現方法で愛情を表現するしかないのである。
そうして愛情を表明したとしても、それが相手に伝わるかどうかは定かではなくて、これまた愛情表現の難しいところだなあと思った次第である。